お兄ちゃんとわたし


「氷ってどうやって作るの?」
 わたしのいったことに、お兄ちゃんはバカにしたように、
「そんなの水を冷凍庫に入れておけば凍るだろ。」
 といった。もう!そんなことくらいわたしだって知ってるよ!
「ちがうの。学校のしゅくだいなの。れいとうこなしでどうやって氷をこうらすかって。」
 わたしは話すけど、お兄ちゃん分ったかな?
 しばらくお兄ちゃんは考えている。



 ねぇ、お兄ちゃん 気づいてる?


 しばらくして、お兄ちゃんはいった。
「知るか。そもそもこの暑い季節にそんな宿題あるわけないだろ。」
 うっ。・・・やっぱりおかしかったかな?がんばって考えたんだけどな〜。
「ホントだもん!出たんだもん!」
「ウソだ。」
「ウソじゃないもん!」
 わたしとおにいちゃんのケンカに、そばで見ていたお母さんは、
「楽しそうね〜。お母さん、かまってくれなくてさびしいわ。」
 なんていって、ハンカチを取り出して泣いてるふりしてる。お母さんは、ときどき子どもっぽい。
 けど、今のわたしにはそんなことにつっこむよゆうがなくて、どうやったらお兄ちゃんと話を続けるかひっしだった。


 きっかけは、とても単純なもの。私とおにいちゃんって、仲がいいのか、悪いのか、よく分らないんだもん。
 どちらでもない、って言うのがいやで、無理やりに仲良くなりたいのかもしれないし、やっぱり
 よく分んない。なんだかんだ言いながら、お兄ちゃんもお母さんも分ってるのかもな〜。


 お母さんがさっき入れてくれた、つめたいジュースに入っている氷が全部とけてしまってぬるくなってしまっていることすら気づかないほどに。


「お兄ちゃんにかまってほしい年頃なのね。」
 二人の子どもたちの母は、末娘に聞こえないよう小さくつぶやいた。

おわり



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